メディアが不況を拡大している

http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20090213/185992/
実際問題、これはかなり思っていたことだった。「ニュースは不況不況というけれど、別に給料も変わっていないし相変わらず仕事は忙しいし、なにがどう不況なのだろう。ニュースはそう伝えてむしろ消費を冷え込ませたいのかしら」と考えていた。*1その疑問が少し解ける記事。

たしかに、そうだなぁ、と思いつつも、メディアの現場の人たちは、視聴者や読者が一番望むもの、つまり、一番売れるコンテンツ、一番視聴率が稼げる番組、のつくり手として、長年トレーニングを積んできたプロフェッショナルたちです。彼らが、自分の毎月の給料の源泉は俯瞰してみれば経済循環であることは十分わかっていても、目の前で評価されるのは、番組の視聴率であるのだから、その数字の向上という目標を必死に追いかけてしまうのもまた理解できます。

てことは、一番お馬鹿さんなのは、苦労している人の声を聞きたがる(不況にあえぐ人の声を喜んで聞いてチャンネルを合わせている)視聴者ということになるのか。実際週刊誌のゴシップ記事は下世話だと思っていたけれど、需要があるから供給があるんだってことになるものね。それと同じか。じゃぁ視聴者の側が気持ちを変えなきゃ。そういう話になってくる。

しかし、これはメディア側の意見(言い訳と言ってもいい)なのだろう、とも思う。メディアは視聴率で評価されるが、たとえばまさに不況にあえぐ自動車業界や電機業界から多額のCM料を受けとっている。自分たちのスポンサーに媚びるような番組作りをしてはいけないが、自分たちのやっていることがひいては自分たちの首を絞めているとも思う。(自らも多少なりとも加担した)不況によってテレビCMをやめる会社が出てきて、テレビ各社も減益だとか言っているのだから、その循環を少しは考えればよいのに、という気がする。(これは私も須田氏に同調するところだが)なんだかんだいってテレビの影響力はとても大きいのだから、違う使い方を考えればいいと思うのだ。発信するものを変えて、単に視聴者の(下世話な/黒い気持ちの)ニーズに応えるだけではなくて、良い製品を伝えるとか、明るい情報をもっと伝えるとか、いたずらに不安を煽るだけではいけないだろうと思うのだ。

もう少しモラル的なことを言えば、テレビを公共財と考え、発信している対象=めぐりめぐって自分たちに益を与える存在 と思えば、(黒い)ニーズから離れたことをして視聴率を下げたとしても、「良質な情報」を送り続けるべきだろうと思う。その黒いニーズを開放することが、「成功者がこそこそしなくてもいい社会」を作るための一つのキーになるような気がする。まぁ、日本は昔から「出る杭は打たれる」っていうから、文化的に無理なのかな。
おまけ。
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/tv/20071113et03.htm

*1:確かに年が明けてから少し仕事減ったけどね。12月は生活の中で不況を感じることは(ありがたいことに)正直まったくなかった